尋常ならざる趣味
2005年10月15日最近歩くことが趣味だ。60代のおじ様おば様方の健康志向ブームのウォーキングといえば年寄り臭いと思われるかも知れないが、私のはもっと酷い。痴呆症の老人が深夜あても無くコンクリートジャングルを彷徨い歩く行為とほぼ同じだ。
PM 9:35
小雨がパラパラと降り始めている。普通だったらこれから激しくなることを考えて家で大人しくしているのだろうが、雨に濡れることも嫌いじゃないので家から少し遠い全長4Kmの親水公園を端から端まで歩いてみた。
虫の音が心地よく響き、川のせせらぎが心を癒してくれる。そんな静寂をポンプが水を汲み上げる人工的な音で掻き消されるのが非常に気に食わなかった。
歩き始めて最初に目に入ったのは30代のカップルだ。すぐに通り過ぎてしまったのでどんなことを喋っているのか皆目検討もつかないが、屋根付きのベンチに座って愛を囁き合っているのか別れを告げていたかのどちらかだろう。小雨の中わざわざ外にいないで、室内でちちくり合えばいいのに。
だいぶ歩いて次に会った人間は、30代〜50代の男性。長靴を履き、川の中で網を持ち、ひたすら水中の何かを探していた。普通に考えれば異常な光景。サスペンス劇場風に言えば、男は前日の殺害で落してしまった遺留品を探していて、そこを通りがかった私は次の日殺され、一連の殺人事件を船越英一郎が解決する感じだろうか。明日殺されないことを祈るばかりだ。
端から端まで歩いてみたが、疲労感で体が一杯。これから家に帰ることを考える、もう一回親水公園をある距離とほぼ同じだ。川は飽きたので、アスファルトを歩くも面白みが無い。何か妄想でもしながら歩こうと、中学生が大好きな女の子に書いたラブレターの文面を考えてみた。最新の命名ランキングに"葵"という名前がランクインしていたのを思い出し、相手の名前を"葵"にしてみた。
葵さん、私はあなたのことを考えると夜も眠れません。
眠れないので、別のことをしていてもあなたのことが忘れられません。
夜はいつもあなたのことを考えてしまいます。大体
夕日に赤く染めあげられた教室で、学生服に身を包んだ少年少女が互いの舌を絡ませ悦楽に浸っている。
互いの顔が離れ、いやらしい唾液が葵の顔に滴る。もう一度激しく舌を絡ませながら、今度は体も求め…
毎晩こんな感じであなたのことを思いながら射精しています。どうか私と付き合ってください、お願いします。
ラブレターの書き方に困った若者のは参考にするといい。そしてフラれるといい。
歩いていると自然と心が落ちて、真っ向から自分と向き合う事が出来る。自分の醜さ、怠慢さ、傲慢さ、全てを受け入れて自分を見つめることが出来る。少しだけ心に余裕が出来、もう少し生きてみようと思える。家に引き篭もりがちだが、外に出てみるみて初めて重要かが分かる。
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